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物語が始まる前に、一言。

 ナンパも出来ない軟弱な男が、絶世の美女と知り会い。人生の生き方から性格も変わってしまうのです。男は、どのように変わるのか、変わってしまった為に、親の人生も変わるのだろうか?。。。。。
 
それでは、物語が始まります。
 
夢か幻か現実か
 
 結婚式まで一週間前
 時間の狭間にある竜宮城の住人と地球の住人との数々の運命の出会いがあった。その中の一つの出会いの物語である。それは、遥かな昔でも、未来でもない。勿論、平成の現代でもない。この都市は時間の狭間に存在していた。その為に、何時の時間の流れにも存在が出来た。その影響で住人も、何時の時間の流れにも存在が出来るが、普通の人とは違いがある。それは、左手の小指に赤い糸のような感覚器官が、そして、背中に蜉蝣の羽のような器官があった。そのような人々でも、霞だけを食べるのではない。平成の現代人のように様々な物を食べる。
そんな都市の午後。ある料理店に、二人の男女がいた。女性は髪を伸ばして後ろで束ねた。深窓の麗人のような人だ。名前は江見と言い。赤い糸の感覚器官と蜉蝣のような羽がある都市の住人だ。向いに座る者は、男性で、オールバックにしている。色男には見えないが、目が細くて優しい顔だ。男性でも女性でも不審を感じない表情だ。この手の男性が色男と言うのかもしれないが、同じ同族でなく普通の平成の現代人だ。そんな二人の男女が会話をしている。男性は嬉しく、女性も嬉しさを感じるが、微かに不審とも怒りとも感じる表情を表していた。
「江見。私は本当に理想郷があるのに驚いているよ。素晴らしい都市だね。この都市で死ぬまで生活できるのだろう」
「そうよ」
「それだけでも幸せなのに、ここは、物語と思っていた。あの竜宮城なのだろう。羽衣の伝説も、赤い糸も作り話ではないのだからな。本当に驚いているよ」
「私も驚いているわ。薫が、こんなにも女性を喜ばせる人になるなんて驚いているわ」
「え、私が何かしたのか?」
「ふっう」
 江見は、怒りを抑える為だろう。大きな溜息を吐いた。
「ん、褒められている。そう思って良いのかな?」
「あのねえ。斜め向いの女性が、携帯白粉の容器の鏡で、薫を見ていたでしょう。それは良いわ。いい男として見ていたのだからね」
「そうか、気が付かなかった」
「そうなの。知らなかったの。ふ~ん」
「ごめん、気が付いていました」
 薫は、微笑みを浮かべながら話を聞いていたが、話の意味が理解したのだろう。真剣な謝罪と思わせる為だろうか、細い目を大きく開いて、何度も頭を下げていた。
「そうでしょう。私が驚いているのは、前の薫だったら気が付かなかったわ。それだけでなく、おでこを掻く振りをして、目で合図を送ったでしょう。それも二度もね。私は、本当に驚いているわ」
「私の事ではなかったようだぞ」
「なぜ分かるの?」
「私を見て笑っていたし、私の斜め後ろの男性の連の女性が帰ると、同じ席に移動したからな。そう感じたぞ」
「薫。そんなに、その女性に夢中では、私の話を聞いて無いわね」
「聞いているよ。私が、ここに永住する事への、祝いをしてくれるのだろう」
「そうよ。薫の世界で言えば結婚式と同じ儀式よ」
「おお結婚式なのか、その日が早く来ないかな」
「本当に、そう思っているの?」
「本当に思っているよ。何故、そんな事を聞くのです。うっうう」
「昔の薫なら泣き真似は通じたわ。今は嘘を誤魔化しているみたい」
「信じてくれないか、本当に愛しているよ」
 薫は、今にも泣きそうな江見の顔を見て優しく本心を伝えた。
「本当に、そう思っているの?」
 江見は、鋭い目を向けた。
「心の底から愛しているよ」
「本当?」
 ますます、鋭い視線を向けた。
「私からも、一つ聞いて良いかな」
 薫は、江見の事が本気で好きだか、今のように気分を壊すと何を言っても無駄な事だと知っていた。それで、苦し紛れに問い掛けた。
「え、何?」
「竜宮城には、赤い糸を信じない人も居るのだろう。それなら、赤い糸が繋がっている人を探す旅には、出かけない人も居るのかな。そう、今まで考えていたよ」
「それは、居ないわよ。必ず探しに行くわ」
「そうか、巡り合わなかったから、同族と結婚するのかな?」
「違うわ。可なり長い間、時の流れの中を探し回れば必ず巡り合うわよ」
「そうか、それなら何故、赤い糸を信じないのだろう。なあ、江見」
薫は、完全に話しを逸らす事が出来た。そう思い、何気なく問い掛けた。
「それはね。薫のように女が好きで、だらしない人がいるからよ」
「あの、江見」
「なに」
 江見は満面に怒りを表した。
「何でも無いです。何か話しがあるのでしょう。何かな、ねえ、何だろう」
「そうよ。男って皆同じ。私が幼い頃から好きだった人も同じだったわ」
「あの、江見」
「だから、なによ」
「その、昔の想い人は赤い糸が繋がってなくても好きだったのか?」
「え、言わなかった。旅立ちの門を通らなければ赤い糸は現れないの。それで好きな人が居る人は、二人で門を通るのよ。薫のお母さんに会う為に一緒に通ったでしょう」
「あああ、あれが、そうか」
 薫は、話しの意味が解り、笑みを浮かべた。と、言うよりも、江見の怒りが和らいだからだろう。それで、安心したからに思えた。
「それで、その男は何かしたのか?」
「信じられない男だったのよ。私と、その男が、赤い糸が繋がっているかの旅なのに、薫の世界に行くと直ぐに、女性を見かけると声を掛けるのよ」
「うんうん」
 薫は、何も答えずに頷いていた。何か声を掛けると、江見の気分を壊しかけない。そう思ったからだろう。
「そうでしょう。でもね。赤い糸だけを信じる一途な人。そう思って、ますます好きになったわ。だって、赤い糸が繋がってなくても。私、女性の象徴も大きいし、顔も性格も良いでしょう。それなのに、他の女性を探すから、そう思うわよ。そうでしょう」
「うんうん」
「でも。その男は、女性に声を掛けていた理由は、赤い糸を探すのでなくて、私が固い女性だから遊びで声を掛けていたのよ。私、偶然、睦言を聞いてしまったの。その男の口から出る言葉は全部、私の悪口だったわ。頭にきて、赤い糸だけを信じる事にしたのよ」
「うんうん」
「薫も酷い人と思うのね。あれは、神の試練だったのよ。あの男の名前も全て忘れて、赤い糸を心の底から信じたら、違う場所、別の地の時の流れに飛んでいたわ」
「そうか、突然に別世界に行ったから、甲羅が割れて探す事になったのか」
「違うわ。あれは、二年前」
「え、時の流れを飛んでいるのに、正確な日時が分かるのですか、え、何故です」
 薫は、驚きの声を上げた。
「そんなに、驚かなくても分かるでしょう。時を飛んで、その世界の均等を崩さない為に世界に合わせて若返ったりするわ。連れ合いと会うまで死なないけど、肌の荒れと言うか、筋肉の衰えとかで歳を取ったって感じるわ。それに、竜宮城を出たのが、桜が満開だったでしょう。あの彼氏の名前忘れたけど、二人で着いた地では桜が散っていたわ。あの男と分かれたのが、間もなく桜が咲く時期よ」
「なるほど、誤差はあるが、そう考えれば分かる。最低でも約一年の間、その地に居たのか。うんうん」
「でしょう。私、何か桜に縁があるみたい。薫の、ご両親に会った時も桜が咲いていたわ」
「そうだね。桜が満開だった。竜宮城では夏だったから覚えているよ。あの時は本当に驚いた。二ヶ月位しか居なかったのに、帰ったら桜が満開だっただろう。もう、親が死んだ時代かと考えて泣きたくなったからな」
「時の流れの誤差はあるけど、それ程の誤差を作るなら、玉手箱で時間の指定しない限りありえないわよ」
「そうか。ねえ、それで」
「えっ。ああ、亀の甲羅ね。やっぱり、一人で別の時の流れの地でも桜が咲いていたわ」
「そうなんだ」
「そうなの。でも、それに気が付いたのは、もう少し後、亀の甲羅を探す時だったけどね。それでね。私が始めての地に着いた所は海岸だったわ。そこで、禁忌を犯してしまったの」
「な、なにをしたのですか?」
「前回の地では、いや、旅立ちの始めての地では、名前も姿も忘れた彼が、起点を作ってくれていたわ。私は、頭の中では解っていたわよ。起点を作る事をね。でも、あまりにも可愛くて、いや、かわいそうでねえ。つい、両手で生き物を掴んでしまったの。ああ、両手と言っても解らないでしょうね。始めての地で形有る物を始めて両手で触ると、起点となるの。普通は大きい植物に付けるのが普通なのよ。切られても根っこは残るからね」
「あのね。江見さん。起点って何でしょうか?」
「言ったままの意味よ。出発点を確保するの。それが無いと竜宮城にも帰れないし、別の地にも行けないの。起点が無くなるか、動くと、時の流れの中から一生出られないか、着いた地で一生過ごすしかないのよ。それほど重要な物なの。それを、私は動く物に付けてしまい、その地の人達に殺され、壊されてしまったの」
「そうか、大変だったね。それで、私の居る世界に偶然に来たのか」
「そう、運命の出会いよね」
「うん、そうだね。おっ」
 薫は、店の玄関からお客が入って来た人物に興味を感じた。
「どうしたの?」
「えっ、何でもないよ」
「そう、ん?」
 江見は、好奇心を感じて、薫の視線の元を探した。
「違うぞ。巨乳の女性を見たのでないからな。あっ」
 薫は、つい、本心を言ってしまった。そして、段々と顔を青ざめた。
「え、ふっーああっ」
 江見は、薫の姿を見て、本当の事と感じたのだろう。我慢ができず怒り声を上げた。
(この人が、神が選んでくれた。私の理想の人なの。始めて会った時は、頼り無い人と思ったけど、浮気の心配だけはない。私だけを愛してくれる人。そう思ったのに。やはり、赤い糸は、神も信じない無信者の話しの通りなの。「赤い糸は遺伝子だけの理想だ」そう訴えていたわ。やはり、そうなの。赤い糸を信じた。私が馬鹿だったの)
 そう思いながら、初めて会った時の事を思い出していた。
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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