四つの物語を載せます
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 第十六章、終章、新しい時の流れ 薫の両親は十年前に戻された。 「ああ」 二人は声を無くした。夢にも見ていた。徹が死ぬ寸前の場面を、幽霊のように宙に浮きながら見ていた。 「涙が欲しがっていた。あの指輪を買ってもいいぞ。少し大目にボーナスが入ったからな」 「えっ、本当にいいの。まだ、売れ切れてなければいいわね」 「そんなに急ぐな、何かあったらどうする」 「あっ」 急ぐあまりに、足がもつれた。そして、乳母車から手を離してしまった。 「大丈夫か」 妻を抱き止めた。だが、乳母車は前、前と進んで行く。 「あっ、私の赤ちゃん」 あまりの驚きでぎこちなく歩くが届かない。それでも、二人は、乳母車を止めようとして、手を伸ばすが、乳母車は段々と早くなり、手に掴めない、このまま進めば水路に落ちてしまう。幽霊のような二人は、その場面を、空中から見ていた。 「何度も、この場面に戻りたい。そう思っていた。だが、どうすれば良いのだ」 「何を言っているの。赤ちゃんを助けるの。赤ちゃんを助けるのよ」 二人の頭の中では、竜宮城の事も幽霊のような自分の事も、思考できなかった。ただ、自分の子供を助ける事だけだった。本能のように乳母車に体ごと向かうが、掴む事も触る事もできない。ただ、通り抜けるだけ、それでも、必死に通り抜けるが、何度も乳母車の前に戻り、何度も止めようと繰り返した。 「お願い、止まって」 止まることは無かったが、速度は、だんだんと、遅くなっていく。自分の行動が過去の世界では、風を起こしている。それが分かると、もっと必死に祈りながら止めようとした。すると、神に祈りが届いたのか、それとも、玉手箱の力だろう。 「うわー」 過去の二人は、突然の突風を顔に受け、目を閉じた。 「止まったわ」 「止まってくれた」 幽霊のような二人が、赤ん坊の笑みを確認するのと同時に、過去の二人は目を開いた。過去の二人も同じような笑みを浮かべると、幽霊のような二人は、過去の二人の体の中に吸い込まれた。時の流れが変わり一体になった。 PR 第十五章、そして、結婚式、当日 第十四章、再び江見の家 第十三章、竜宮城へ、結婚式まで十日、そして、薫と薫の両親の時の流れは 第十二章、結婚式まで十一日前。薫は両親を連れて行けるか、年一度の出掛ける理由は? |
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垣根 新
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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