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第六章
 二人は、知らない世界に現れた。それも、地表から数センチ所に現れた。
 女性は意識が有った為に地表に立つ事が出来たが、輪は立てなく女性に寄りかかった。
「キャアー」
 女性は、突然の恐怖と、輪の手が胸に触れて、恥ずかしい気持ちと恐怖で、身体の機能が身体を守る為に動いて、輪を殴り倒していた。そして、正気に戻ると驚きの声を上げた。
「ここ何所なの」
 女性は周りを見たが月明かりしか無く、目が馴れるまで一点を見詰めた。目が成れてくると松明の明かりを、人魂と勘違いをして気絶した。女性が気絶せずに月を見ていれば、人工的な満月から新月に変わる姿が見えただろう。その正体は、輪の親が乗る月人の乗り物だ。この世界では天空浮船、かぐや姫の車、天の鳥船。その乗り物を見分ける事は出来ないが、人々は親しみを込めて言われていた。この世界では月からの乗り物だけではなく、地球の未来、他次元世界からと見慣れている物だった。女性の世界では他世界から来た。飛ぶ舟を見たなどと言えば。頭の横で指を回し呟くだろう。
「この人これ」
 そして、笑いながら立ち去る事だろう。
 この世界では親しみを込めて、省略して話題に上げる。
「あら、あら。かぐや姫のお帰りかな」
「それは無いでしょうね」
「それとも旅好きの尊様のお帰りかな」
「それなら仕事を早く終わらせて、尊様の話を聞きに行かないとねえ。
と、笑いながら話を弾ませる事だろう。
 月夜に浮かぶ月人の乗り物は、色から形まで亀をそのまま大きくしたような乗り物だ。
 大きさは四トンのトラック二台繋げた位で、重さも二台分とほぼ同じだ。見た目は、亀が千年生きたとしたら、これ位は老けると思うほど皺くちゃな顔をしている。甲羅は泥か砂で覆われ甲羅が少し見える程度だ。顔以上に年月を感じる。まるで化石のようだった。
「何故なの、今機械に反応があったのに、何処に消えたの?」
 亀の形の乗り物に窓でも有れば、中で人々が慌てている様子が見えただろう。特に、輪の親、冴子の目が血走り、気が狂ったかの様子だ。
「我々が来た事で、時の流れが狂い飛ばされたようです」
 遺言男の父親。訓は淡々と話した。
「そんな。導きの糸が赤くなれば、二人で飛ばされるはず。そうでしょう」
 冴子は一人で悩むと、仲間に尋ねた。
「斎さんのお子さんが、導きの人に会えたが想いを伝える前に我々が来たために、他世界に飛ばされ出会いから始まったのかも、それとも我々が来た為に、この世界の人と結ばれるはずが、強制的に別世界の、同じ遺伝子がある人の所に飛ばされたか、我々が来た為に、簡単に結ばれるはずが、時の流れが複雑になり、新たな障害が出来たか?」
 それともこの世から」
「もおおー。いい、いや、やめて」
 冴子は髪をかきむしり悲鳴を上げた。訓の慇懃無礼の話し方とやり場の無い怒りで興奮していた。訓は冴子の悲鳴でも話すのを止めない。冴子は、訓の首を絞める事で、何とか話を止めさせた。冴子は気が付いてないが、輪の夢遊病の原因は、訓の家族が原因だったのだ。ある意味、復讐を果たしたのだ。それでも、興奮は収まらず言葉を吐き出した。
「私の子は何処。私の子は何処・・・私」
 冴子は同じ言葉を話すが、声が段々と小さくなり落ちつきを取り戻した。
 亀船の中は、やっと静寂を取り戻したと言うのに、今度は機械音が響いた。
「この世界の時間の歪めが現れたようだ。冴子さんの息子さんかも知れない」
 訓の言葉で静寂が破れた。別の言い方があるだろうに、故意に気持ちを高ぶらせて遊んでいるかのようだ。冴子は瞬きもせずに呟き。その意味が分からないのか。言葉を探す為に幼い時の遠い昔まで遡って要るような時間を費やした。
「私の息子?」
「冴子。家に帰ろう。家で、息子の連れ合いの事を楽しみながら考えて待とう。糸も赤くなったのだから、それほど時間も掛かるまい。それに今顔を見たら、楽しみが無くなり帰って来るまでの時間が長く感じると思わないか。そうだろう。なあー帰ろう」
 斎は、妻の思いを変えようとした。だが、虚空を見詰め心が身体にないような妻に何を話して良いか。ふっと、息子が旅立った時に慰めた言葉が自然と口にしていた。
「十歳の時では、好きな顔と言えばお前見たいにふっくら顔の東洋系しか書かなかった。それが、年頃になると、急に月には居ない何洋系か分からない子供を書き始めた事を覚えているだろう。理由を聞いても答えてくれなかったが、もし、その子と結ばれるとしたら、どんな子になる。それにどんな美人だと思う」
 斎は笑みを作り、嫁と孫の想像を話した。
「私の時は貴方を月に連れて行くと、親がどんな顔をするのか一番の楽しみだったわ」
「なあ帰ろう」
 冴子は、始めの内は声が心に届いていないようだったが、自分の時と重なったのだろう。突然に笑みを浮かべ言葉を返してくれた。そして、斎は、妻が考えていると思い。少し待ち、声を掛けた。冴子は自分の親もこんな気持ちだったのかと感じて即答した。
「帰りたい。そう思うのは勝手だが、最後まで付き合ってもらいますよ」
 訓は不満顔で問いかけた。
「それなら確かめないで良いのですね。それでは、次は誰の順番でしたかな」
「あっお義母さん。私達が住んでいた家見てみます。私の母も見えるかも。此処からなら、それ程離れていませんよ。どうしますか」
 亀舟の乗員は若い時の事。今も外見は若いが、糸の導きの旅で他世界を狂わさないように行動しても、修正が大変だった事を忘れているようだ。特に聖は、輪の赤い糸を見たと言って、この世界に来る原因を自分が作ったというのに、自分だけ笑顔を浮かべて本当に嬉しそうだ。
「婿が、どの様な暮らしをしていたのか知りたいのは山々ですが、私達がこの世界に居ても大丈夫ですかねえ。斎さんはどう思います」
 義理の息子、聖の提案に、問いを掛けなければ今にも機械操作をして、その場所に行くのではないかと思い言葉にした。月世界では、好きな歳から始める第二の人生でも、それまでの記憶が有るはずだが、第二の人生が楽し過ぎて辛い過去を忘れてしまったのだろう。他世界で何をしても。今の自分達が修正をする事は無いが、少し昔を思い出せば分かるだろうに、修正しなくてはならない事を、それなら誰がするか。自分達の子がすると考え付かないでいた。
「私達は今すぐにも帰りたいのですが、約束は約束ですから、ちゃんと守りますよ。好きな所に行って下さい」
 亀船は移動している姿が見えた。世界を狂わす事を生きがいのように、冬眠する生き物がいれば、この音と光では強制的に覚めるだろう。まるで、真冬の深夜から真夏の昼のような変りようだった。もしも、導きの神が存在するのなら肩を竦めて、次のような事を呟くだろう。
「古代の月人が、いや、古代地球人が犯した罪で、時の修正をしなければ子孫を残せなくなったと言うのに。やれやれ、私が甘いのか第二の人生を与えた事が原因だろうか。しかし、三家族の内、二組は帰ろうとした。このまま好きにさせるか」
水の流れを感じない小河のような時間の流れが、亀船が動いたと同時に、突然に大きな岩が川に現れたように、渦を巻き、水飛沫が飛び散るように変わった。輪の周りに月の光が屈折して見える。気絶しているのに、身体が動いているように痙攣して見えた。まるで小河の渦が、水飛沫に巻き込まれた微生物のように感じられた。そして、女性を一人置いて、輪は消えた。 
 もし、この時に女性の意識が有れば、元の世界に返れると思い。輪の身体に触れた事だろう。でも、女性は動かなかった。もし女性の意識が有るなしに係わらずに身体に触れていたら、輪も、女性も。輪と係わった人々は、違う生き方をしていたはずだ。輪の取っては不幸な事。いや、嘘を付く必要がなく、両手の華。そう喜んだかもしれない。
最下部の第七章をクリックしてください。
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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