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第十章
「この服は、もう着る事が無くなるのね」
 春奈は最後の仕事を終え。自室で巫女服を眺め一日を振り返っていた。
「だけど、父の知らせが来る前に、警護頭以上の家々から使いが来て親戚が総て辞めるなんて、何か遭ったの、まさか、私が居たから遣りたく無い巫女をしていたの。それより父が、母の部屋にこいなんて、亡くなってから誰も入れなかったのに、今さら入れると言っても嬉しく無いわよ」
 春奈は独り言では嬉しく無いと呟いているが、母の部屋に入れる嬉しさは、顔色に表れていた。その姿を見かけた。警護人や御用人が話しをしていた。
「春奈様の笑みを始めて見るが、何か良い事が合ったのだろうなあ」
「知らないのか。今日巫女の御役目を、お辞めになったと聞いたぞ」
「気疲れが取れたのだろうか?」
「笑みでなく笑顔が見られるぞ。俺、今日の昼に警護頭の用足しで、春奈様の服や見た事も無い綺麗な首飾りを運んだからな。早く着た姿を見たいな。綺麗だろうなー」
「それだと、礼様と結婚の用意だろう」
 上役が現れると、警護人達は話す事を止めた。見回りの時間なのだろう。その場の残る者や別の場所に向う者と別れていった。 
「父様、父様」
 母の部屋の扉を叩き、声を上げた。その時、約束を忘れているのかのように、父は食室で二人の男と話しをしていた。
「噂は真でした。八尾路頭本家が幼児の双子を残し総て殺されました」
「だが、弓や刀では殺せないはず」
 春奈の父は顔を青ざめていた。
「それが、」
 男は苦やしそうに話し始めた。
最下部の第十一章をクリックしてください。

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垣根 新
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自己紹介:
物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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