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第十四章
「探す所は無いわよ。もう止めようよー」
 秋奈が愚痴を零した。春奈は旅を続けられるが、全ての人々が避難したかを確かめるのに協力して欲しい。そう言われ、二日、四日と捜し歩いた。勿論、遊びながらだが、秋奈は飽きたのだろう。
「巫女様。長が動けば士気は上がりますが限度を超えれば邪魔になるだけです。秋奈さん達の言い方は悪いですが、友人と思い話し掛けていると思いませんか?」
「分かりました」
 礼は、言い終わると、春奈の話を聞かずに二人の女性の機嫌を取り始めた。その後を、春奈は暫く歩いた。警護人が町を探索しながら無駄話をしている声が聞え、耳を傾けた。それは、警護頭が試合で上位に残り、明日が最後の試合だと聞いた。皆にも聞え、警護頭の話題になった。礼の話が中心で、口から出るのは悪口だけだ。春奈は黙って聞いていたが、心の中では、幼い頃から最近までの事が思い出され、そして、侮辱する話と重なるたびに、違う。違うと呟いていたが、我慢の限界を越え、大声を上げた。
「警護頭は、礼と闘っても負けるはずがありません。今まで試合に出ないのは、試合は、部下の夢の為にあると言っていました」
「ほう、凄い自信ですね。私に言っても良いのですか。これでも勘当されましたが、春奈さんと身分は同じです。元の身分を言えば勝者だけと闘えます。ああ、巫女様の護衛があるのでした」
 大袈裟な身振り手振りで、怒りを誘うように感じられた。
「私は帰りますから、闘ってみなさい」
「闘いましょう」
 最後の言葉と笑みには、全ての思いを伝え、心底から安堵したように思えた。
「輪様。私から頼んだ旅ですが、これで帰らせて頂きます」
「いいえ。私がお礼を言いたいほど、楽しい旅でしたよ」
 春奈が怒りを表しながら帰る姿を、輪は見え無くなるまで見送った。
「これから何所に行きます。港町を離れる意外なら、何所で行きますよ」
 三人は、残りの二日間は遊びに飽きたのだろう。何気無く過ごし、謎の生物が現れるのを砂浜で待つ事にした。
「今度失敗しても、自棄を起こさないでよ。私はこれで旅が終わると思うと少し寂しいから、慌てて家に帰らなくても良いの」
「私も、帰っても病院生活の戻るのだけだし、旅が長くなる方のが嬉しいわ」
 輪の気難しい顔をほぐそうとしたのか、別れの挨拶のようにも思えた。
「心配してくれて有難う。必ず帰れますよ」
 輪の話が途切れて不審に思った時に、頭の中で声が響いた。
「我の双子は来ていないようだが、話しの内容しだいでは、我に考えがある」
「夏美さん。秋奈さん。羽衣を返して頂きます。良いと言うまで林に隠れてください」
(赤い糸で傷が付かない事を祈るしかない。もし傷が付いても、あの化け物を倒せるはずがない)
 言葉を掛けると同時に、心の中で考え。手渡された羽衣を背中に付けた。その姿は飛ぶという姿ではない。妖精のように浮いているようだ。そして、巨大な恐竜に似た謎の生物に近づいた。
「お前は、何所から来た」
 幽霊でも見たような驚きの声を上げた。
「私は月から来ました」
「嘘を吐くな。月では住めなくなり、我々はこの地に来たのだぞ」
「嘘ではありません。ですが、過去か未来の月なのか分かりませんが、今見える月に係わりがあるのは確かです」
「そうか」
 話しを聞き終わると、全ての思いが吹っ切れた。すると、父や同族の顔が過ぎる。血を絶やすな。絶やさなければ、月で別れた同族と一つになれる。父の最期の言葉だ。そして、幾つかの物語。住めなくなった月に最後まで残り、遠い昔まで時を飛ぶ。そう考える同族もいた。今立つこの地のように、数限りなく、高等生物が生まれて滅んできた。月でも同じ事が起きたはずだ。生物の進化の時間は、月も、この地と同じと考え、後の月人に係わりが起きない昔まで飛び生きる。確かに時を越えられるが、代償の重さにより変わるらしい。そして、海水と地表を代償に使った。成功か失敗か分からないが、今の月になってしまった。月を見る子供を居ると、大人は夢物語のように話しを聞かせた。そうか、生きていたか、そして時間の狭間から出られなくなったか、だが、この男はどの様にして、この地に来たのだろう。初めて会った時は、同族の気配は感じられなかった。
「そこは、楽園なのか?」
「楽園です。今までいろいろな世界に行きましたが、私の生まれた月以上の楽園は無かったです」
「いろいろな世界に行った。と、言う意味が分からぬが、教えてくれないだろうか」
「私も詳しくは分かりませんが、この星の多重世界。いや、この星が無数に重なりあう空間に、私の住む月が一つだけ浮かんでいるのです。そして、連れ合いを探す為に、月を離れてこの星に入り、自分の意思に関係なく、いろいろな世界に飛ばされるのです」
 獣の声の響きが、段々と穏やかな囁きに変わり、このまま気持ちを静めてくれ。そう願った。
「そうか」
 八尾路頭家の生き残りが居れば、孫と話をしていると錯覚するほどの、心優しい響きをしていた。
この地に移り住んだ我々や、宇宙を永遠に彷徨っているかも知れない同胞と、時を飛んだのだろう。その中の同胞で、どの同胞が幸せだったのだろうか、考えても仕方が無い事だ。今まで我や、我の同胞は幸せだった。それで、良いのだ。
「我と、お前は、同じ月人の子孫だ。血族が生きているのならば、お前に従わなくてはならない。お前に全てを委ねるが、今際の言葉を聞いてくれ。我の一族は、幼い双子を残して全て殺された。今はまだ生かされているが、先は分からない。行く先々の時の旅で、双子が生きていれば、手助けしてくれ。頼む。それだけだ、さあ、好きにしてくれ」
「待ってください。双子の事も、私達の過去や月の事も、この星の事も何も分からないのです。知っているのなら教えてください」
「何を言っている。気が変わるぞ」
 輪は、嘘だと分かるが、慌てて考え直した。
「分かりました。私は、時の神に従って時の流れに任せるだけです。貴方が死ぬのか、他の世界に飛ばされるか、私には分かりません。勿論、御孫さんの事も、時の神が、私と御孫さんを合わせてくれた場合は、全ての力を使ってお助けします」
「そうか」
 他人事のように語り。予想を思案した。私は多分過去に行くだろう。月にだけに存在する守護獣が、何故にこの地に居るのか分からなかったが、我の事だと思えてきた。獣は、僅かな言葉しか語らず。殆どは眠っていたが、我の言葉なのだろう。そして、何も語らなくなったのは、我が死んだからなのか、それとも、時を飛んだ事により。我の生命の時間の流れが変わり、時折獣の体に入っていたのか、その答えはゆっくり考えるとしよう。時間だけはあるようだ)
「まだか」
「一つだけ教えて下さい。私達の本当の姿は貴方のような恐竜なのですか?」
 輪は顔を青ざめて、問うた。
「わははははは、違う、お前と同じ姿だ。安心していいぞ」
「分かりました。それでは始めます」
 話すと振り返り、大声を上げた。
「夏美さん。秋奈さん力を貸して下さい」
「えっ。何をすれば良いのかしら」
 木々の間から顔だけを出して、問うた。
「夏美さんが言った通りにします。好きなように騒ぎながら破壊して下さい」
「分かりましたわ。だけど、失礼よ。まるで、化け物のような言い方ね。でも、羽衣が無いのですから出来ないと思いますけど、それでも騒げと言うの?」
「羽衣は、二人に渡しますから、好きなだけ遊んで下さい」
 邪な考えを浮かべる魔女のような笑みを浮かべていたが、突然に悲しみを浮かべ、問うてきた。
「秋奈さんや輪さんとは、これで、お別れになるのですのねぇ」
「多分そうなりますね。成らないと困る事になります」
 輪の話に、夏美は頷いたまま話し掛けた。
「秋奈さん。元の世界に帰れば入院生活でしょう。悔いが残らないように好きなだけ遊びましょう」
「そうね。御別れするのですから、忘れられない思い出にしますわ。輪さんは、見ているだけなの?」
「夏美さんが、教えてくれた。最大な修正をしますよ」
「ふうん。始めから遣ればよかったのに」
「まだなのか」
 殺気を放つ声で呟いた。自分の死も、孫の事や一族の全ての気持ちを殺して、心を穏やかに努めようとしている側で、男女の楽しい騒ぎ声が聞えてくれば、心変わりを考えたくもなるだろう。
「今、準備をしております。少々お待ち下さい。言い忘れていましたが、歩き回っても構いませんから、もう少しお待ち下さい」
「そうか」
 話を掛けられると、肩を下ろしたように感じられ、そして、体を動かすと一点を見続けた。自分の生まれ育った方向にだ。始まったのか、輪が、焚き火と落ち葉を撒き始めると、二人の女性は空中を泳ぎ始めた。その光景を見て陶酔しているように感じられた。確かに数分の間は、昇天する者の気持ちを解し、天国に導いてくれる者と感じた。それは、雲の道を進みながら、大勢の遊女が美しい衣を纏い。歌や舞を踊りで、現世の事を忘れさせてくれる場面に見える。 
「何だ?」
 天国にいる心地だったが、明かりと暑さを感じて、我に返った。周りを見て見ると、火の粉が飛び、山は盛大に燃えていた。それでもまだ足りないのだろうか、二人の女性は火を点けて周、今度は体が熱いのだろうか海に潜り。飛び跳ねると海水は飛び散りまくり。所々に渦が出来上がっていた。今度は何を考えているのか、空中を信じられない速さで飛び回る。竜巻を起こしては、山火事を煽り、海水を巻き上げては歓声を上げていた。輪を見ると、祈りを捧げているようにも。頭を抱えて悔やんでいるようにも見えたが、輪が頼んだ事なのだから、儀式をしているのだろうと感じていた。この場面を二人の女性に言わせれば、海の中を行ける所まで潜りの競争をして、海の水を掛け合っただけよ。山火事は、海の中で遊び終わった後に、焚き火に当たるために、先に火を点けて置いたの。確かに、羽衣があれば寒さや暑さを感じなくても、気分で当たりたかったのよ。そして、飛び回って遊んでいたら、火が拡がったのね。そう、他人事のように言って、二人は頷くだろう。
 輪は余り事に放心していたが、竜が消える予感がして視線を向けた。一瞬の間だけ表情を見たが、笑っているような、驚きの余りに呆れているようだ。獣は、怒りを表しても、ここまでする気持ちはなかったぞ。と、言う目で見られたように思えた。
「楽しかったわ。さようなら」
 竜が消えると同時に、秋奈の体が透けて見えた。自分でも帰る事を悟り、羽衣と同時にお別れの挨拶が終わると消えた。輪は、秋奈の別れ顔を目に焼き付けた。羽衣があるのだから、汗を掻く訳が無いのに、清々しいく生き生きしている顔を見せてくれた。
「終わったようね」
「終わったと言うより。終わらせたと思いますよ。周りを見て下さい」
「あら、あら」
「えっ」
 この状況を見て、それだけですか。と、口に出さずに、心の中で呟いた。
「春奈さんの所からは見えないわよね。見たら、チョット遣りすぎ。そう言われるかも知れないわ」
「たぶん見えませんが、巫女様がこれを見たら、心臓が止まると思いますよ」
「二人で、少し遊んだだけなのに、心臓が止まるなんて大袈裟よ」
「そうですか。私には大袈裟に思えません。港町は全壊。砂浜は、竜巻で飛んで来た岩だらけ」
「止めて」
 夏美は大声を上げて話を止めさせた。
「ほんとにもー、私は羽衣の力を使ったとしても、女性としては恥ずかしい事をしたと感じているのよ。慰めてくれませんの」
「すみません。」
 とっさに、声が出ていた。
「輪様。赤い糸が見え、あっ、いや、赤い糸が繋がって欲しい。そう思える人がいたら、何て言うの。試しに、私に言ってくれませんか」
 恥じらいながら声にした。
「私には、まだ、そのような人は」
しどろもどろに伝えた。
「ほんとにもー、私以上の究極な美しい女性が、これから現れると思いますの」
 怒りを現し話したが、話し終わると恥ずかしくなり俯いた。
「究極。確かにそう思います」
 恐怖を感じて、頷いた。
「聞いて見たいの。私も元の世界に帰るような気がします。それで、月人の愛を伝える言葉を聞いて見たいなー、駄目なの。礼さん程の言葉は期待してないけど、思い出にしたくて、駄目なの?」
「分かりました。夏美さん。私の赤い糸が見えるのでしたら、私の生まれた所に遊びに来ませんか?」
 恥ずかしいのだろう。早口で語った。
「えっ、今のが、愛を伝える言葉なの。礼さんと共に過ごしきたのに、何も感じませんでしたの」
「何か可笑しいですか、母が父に言った言葉を言ったのですが?」
「女性なら良い伝え方ね。男が伝える言葉では無いわ。それで、誰かに言った事ありますの」
「何人かに言いましたが、駄目でした」
「何て言われましたの」
「帰ってこられますの。そう言われた事が多かったです」
「それで、どのように答えましたの」
「すみませんが、帰ってこられません」
「そう言ったの。信じられないわ」
 首を振りながら溜め息を吐いた。
「輪様。私に心を籠めて、礼のような言葉を言う気持ちがありますか?」
「えっ」
 意味が分からず、驚きの声を上げた。
「月人という人種は、貴方のような馬鹿しかいないの。それとも、輪だけが変わっているの。まだ分からないの。ほんとうにもー、輪と繋がっている糸が、締め付けて痛いのよ。分かった」
「えっ」
「私がここまで言ったのですから、礼のような心がときめむく言葉を言わなければ、許さないわよ」
「はい。はい。はい」
 驚きの表情をしていたが、目線は夏美の顔を見続け、何度も首を上下に振っていた。
「はい、は、分かりましたわ。早くして」
 声色は期待に満ち溢れていた。
「無数に在る時の流れの世界に、旅をして来ましたが、春、夏美さん。以上の美しい女性に巡りあった事がありませんでした。偽りではなく心から思う美しさ、理想を遥かに超え過去にも未来にも、これ以上の美しい女性は現れないはず。私の運命の人なのですね。この喜びに神に感謝します」
 目を見続け、手を取り、思いを伝えた。
「夏美さん。私の故郷に来てください。これからの人生に、悲しみを感じさせません」
「今、私の名前を間違えましたわよね。春奈と聞こえた気が、気持ちが変わりましたのかしら?」
 笑みを作っているが、目線や声色は殺気を放ちながら問うた。
「そのような事は」
 輪は竦んでしまい、声は出てこなかった。
「私に嘘を付き悲しませるの。素晴らしい人生を送らせて暮れるのでしょう」
 偽の笑みから泣き顔に変わりながらも、殺気を放ちながら話し続けた。輪は、夏美を見ていると、段々と血の気を失い体が縮んだ。人間を石にする魔法があるとしたら、この様な感じだろう。
「はい。春奈と言いました」
 恐怖を感じたために、息をするにも大変だったが、何故か声を出ていた。
「春奈さんには言ったの?」
「はい、言いました。母が伝えた言葉を言いましたが、赤い糸とは何ですのぉ。そう言葉を掛けられ、赤い糸が見えて無い。そう思うと気を失ってしまい。気が付くと夏美さんと出会いました」
「そう」
「夏美さんの方が素晴らしい女性ですよ。私は本当に幸せと思っています」
 夏美から殺気が消えて、本当に悲しい声色を出されると、恐怖が消え去り自分も悲しくなった。
「そう」
「夏美さん」
「そうよね。赤い糸が見えていたとしても振られたようなものよね。春奈の、あの話し方は警護頭を好きと言ったと同じですもの。それは良いとして、今まで一緒にいたのに、私には運命の人に言う言葉を伝えたい。そう思わなかったの。今幸せとか言いましたわよね。告白されたから嬉しいだけじゃないの。違うと言いたいのなら、先ほどの伝え方では納得しませんから、私が言葉で酔うまで、何度も言って貰いますからね。ほら、初めて」
 時の神が存在して、もし二人の祝福と時の修正も兼ねて、奇跡の贈り物を褒美として与えようとしても、厭きられて帰るだろう。二人は何時までも楽しい遊びをしていた。
最下部の第十五章をクリックしてください
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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