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第十五章
「あー居たわ。遺言命の刺繍が背中に見えますわ」
 時の流れを絡ませた張本人達は、最後の目標物を捉えた。
「直接に会うのは止めて帰ろう。人目だけでも見られたのだからな、な」
 訓は、冴子の時とは違い理性が感じられた。自分の息子の事だ。自分が修正をしていた時の事が思い出されて、自分達が息子や同胞の修正の邪魔をしていると思った。それとも男親だからか、女親は男と違い、生命誕生の時の苦しみを思い出せる為に、理性が切れるのだろう。
「だけど、月を出てから可なりの時間が経つのに、連れ合い候補に会えたようにも、女性と係わったようにも見えないわ」
「何故、そう思える」
「あなたは息子が旅立ちの時言いましたわよね。世の中は善人だけではない、少し奇抜な格好をしていれば災難も避ける。そう言いましたわ。男の人の考えは分かりませんが、私や女性から息子の姿を見れば変人と思い近寄りませんわ。私達が伝えなければ、一生あの姿のまま、時の流れから開放されません。それでも良いのですか?」
 連れ合いの話に頷いているように思えたが、違っていた。地上を映す画面を見ていた。
「お前が話している間に録音しながら聞いていたが、運命の人に会ったようだぞ。観て見るか」
「はい」
 気持ちが落ち着くと恥ずかしくなり、小声で少女のような返事を返した。訓は妻の言葉を受けて、数ある中の液晶窓硝子の一つに映像を出した。
「御母さんが話してくれたような。正義の味方があそこで立っているよ」
「見ないようにしなさい」
「お母さんの馬鹿。もう飴玉は要らない。行ってくる」
 少女は、母が厳しい顔で、手を引っ張る気持ちが分からなかった。
「駄目よ。戻りなさい」
 娘は駆け出してしまい、見失った。
「御兄ちゃん。正義の味方だから術の力で、鬼を倒しているのでしょう。凄いよね。お金、ここにいれるね。がんばってね」
「ぶつ、ぶつ、ぶつ」
「御兄ちゃんは、鬼を倒すほど強いから、怖いなんて感じたことない思うけど、でも、箱にお金を一杯いれて欲しいのなら、指に赤い糸を付けないほうが良いよ。御本で読んだ事があるから意味は知っているけど、本当は糸なんて無いのだって、だからね。偽物を指に付けていると、変態と思われて箱にお金を入れてくれないよ。頑張ってね。御兄ちゃん」
 少女は、話を掛けても、呪文に夢中で何も言ってくれない為に頬を膨らませ、愚痴を零した。母親は、やっと娘を見付けたが、人込み挟まれ行く事ができなかった
「沙里華、沙理華。此処よ、此処よ」
「御母さん」
「大丈夫。何もされなかった」
「ん、大丈夫。あのね。いろいろな話しを聞きたくて話し掛けたのに、何も言ってくれなかったの」
「そうなの。御母さんは思うの。誰かを助けていたので、気付かないでいたのよ」
 親子は話しながら家路に向ったが、男の話しがでたのか、時々、男を見ていた。そして、人込みの中に消えていった。
「えっ、何と言った。誰だ、何所にいる」
 今頃気付き、辺りを振り返り見渡した。目線が合ったのは子供だけ、聞き違いと思ったのだろう。又、呪文を唱え始めた。
「なあ、合う必要がないだろう。間も無く帰ってくるから家で待とう」
「はい、帰ります」
 自動追尾録画機を使い、地上にいる息子の映像を妻に見せた。嬉し涙を浮かべて画面を見ていたが、息子の馬鹿な様子を見て笑みに変わり、全てを見終わると自分の時と重なったのだろうか、憂い顔で答えを返した。亀形の船は、夫婦が話し終わると、この世界から消えて、月に帰った。すると、同時に、輪と夏美も同時に消えて、二人が初めて会った大松の前に現れた。
「夏美さん。帰れましたね」
「そのね。これで旅も終りなのね」
「それよりも、夏美さんに聞きたい事があるのですが、教えてくれますか」
 今まで一緒にいて、最高に機嫌が良いと思い声を掛けた。
「なあーに」
「赤い糸は、何時気が付きました」
「ん。恥ずかしいから、内緒」
 夏見は、初めて会った時からに決まっているでしょう。そうでなければ、助けなかったわよ。あの現れ方に、あの姿を見たら幽霊か変態よ。誰だって無視するわよ。恥ずかしさを装って、頬を赤らめていたが、心の中では悪態を吐いていた。
「旅は終わったのでしょう。これから、何所に行くのかしら」
少し怒りを表して、言葉を吐いた
「分からないのです」
 夏美の怒りを感じて、苦しそうに吐いた。
「旅は終わってないのね。まさか、私を置いて消えてしますの」
「私は心底から、一緒に月に行きたいと思っているのですが、飛べないのです。何故なのか。母の話では、連れ合いが見付かれば、直ぐに月に帰れると聞いたのですが、何故、飛べないのだろう」
「あっ」
 突然、夏美が甘い声色の、ため息を吐くと、輪は、夏美の容態を確かめた。夏美は、何か言いたげに、輪の目を見続けた。だが、全てを言わなければ分からないの、そんな表情を浮かべ、泣いているように思えた。
「夏美さん。大丈夫ですか、顔どころか耳まで赤くして、熱でもあるのですか」
「何か重大な事を忘れていると、思うのですが気が付きませんか」
「ああああっ、煎餅を買わなければ」
「本当にもー何を考えているの」
「落ち着いて下さい。なんで、怒るのか分かりませんが、思い出したのです。父の土産は忘れましたが、母の土産を思い出したのです。それを買えば月に行けます」
「月に行って貴方の両親に会うのは分かりますが、私の両親に会って言わなければならない事ありますでしょう」
「何を言うのです」
「月に居る、輪さんの両親に、私を紹介して安心してもらうの分かるわ。私の両親にも会って結婚の許し貰って欲しいの。そして、私の両親に遠回しに会えなくなる事を伝えて欲しいのよ。この世界に帰って来られないのでしょう。何も言わないで居なくなったら心配して捜すわ。それも全てを投げ捨てても、そして、病気になり、嘆きながら死ぬわ」
「心配して捜す。子供が親から旅立てば会えなくなるのは当然のはず。それを捜すなんてそんな事をしたら、子供の人生が狂ってしまいますよ」
「貴方の場合はそうかもしれないわね。私の場合は、突然に消えたのよ。それにね。必ず捜すという訳では無いわ。私が幸せに暮らしていると分かっていれば捜さないわ。だからね。両親を安心させて欲しいの。嘘で良いからね」
「そうですね。芝居を打ちましょう」
「私の父は、簡単には結婚を承諾はしないと思うわ。婿になり家を継ぐと言えば許してくれるけど」
「婿。家を継ぐ。それは何ですか。私に出来る事ですか?」
「はっあー貴方は様々な世界に旅をしたのでしょう。月以外の常識分からないのですか、分かりましたわ。私の世界の常識を全て話しますわ。この世界ではね」
最下部の第十六章をクリックしてください。 
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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