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第十七章

「信、涙花を信じて待とう。それで、この地を去ろう。行き先は、大陸の東に擬人の大きな国がある。その王から不老不死の霊薬の旅に出てくれないか、そう頼まれた事がある。その王に旅に出る。そう言えば全ての用意をしてくれるはずだ。新天地を探せ、良いな」

「そうですね」

 信は、虎家の長老の話に頷いた。

「そうだ、何度か、言ようとしていた事がある。涙花の事だ。左利きの武道家だから常に、左だけに武器を付けている。そう言うが、あれは、信が言っていた。左手の飾りを隠す為と思えないか、一度確かめたらどうだ」

 兎家の長老が問うた。

「えっ」

 信は、問い掛けようとしたが、全ての長老が、都市に付く喜びの声で話す事ができ無かった。

「おわ、おおお」

 都市上空に来ると、虹家、鳥家の獣機に攻撃を受ける。何発も当たるが、貫通する事も変身も解けない。役に立たない。そう感じたのだろう。虹家と鳥家は退却した。その隙に都市に降りる。竜家の長老は即座に変身を解き、声を上げた。

「直ぐに長老会議をするぞ」

 だが、皆は集まったが話し合いと言うよりも確認のように感じられた。恐らく、心の中の考えは同じだったのだろう。それぞれの長老が種族の元に戻ると、高齢者と思える人が可也の人数が集まり、変身を始めた。竜家の長老を残し。それ以外の竜家だけが上空の敵の攻撃を受け持つ。その他の他家は、猪、馬、犬の攻撃を身体で受け止めていた。歳を取ると毛並みや鱗などが硬くなるのだろう。一度や二度位では貫通しない。だが、変身が解ける者が増えたが、気合で何度も変身を繰り返した。

「我らも援護に行くぞ」

 信が自家、他家の獣変身になれる若い者に言葉を掛けた。

「まだ、分からないのか、私や高齢者は旅に出られない。邪魔になるなら、この地で死にたいのだ。それにだ。涙花の為に何かをして上げたい。今まで待たせたお詫びとしてだぁ」

「えっお詫び・・・」

「涙花は、信を助けたいから船を持ってくるのだぞ。信が死んでも、獣族の皆を非難させてくれるだろう。それでは償いきれない」

「私は嫌です。人の犠牲で生き残るなんて」

「いい加減にしろ。誰が、新天地までの護衛をする。はぁー、死ぬ気持ちはない。信と涙花の結婚式を見るまではなぁ」

「だから、私は」

「お前以外は、気が付いている者は大勢いる。確認はしていないが、左手には噂の物があるかもしれないぞ」

 竜家の長老は吐血を吐いた。地上に降りるまで可也の数の石弾が腹に当たっていたからだ。信や他の長老が背に載っていなければ、腹に当たるはずもなかったはずだ。

「竜の長老、大丈夫ですか?」

「気にするな」

「結婚の祝いとして守って頂きます。だけど、遅いと言われ断られるかもしれないです」

「わははは、そうだな。その時はひたすらに謝れよ」

二人は笑っているが、都市の外は地獄のようだ。獣は石弾の角度を見切り、最小限の傷で跳ね返していた。だが、全ての獣と言って良いだろう。獣の身体は血が滲み痛々しかった。長老たちが着てから、都市には全く被害が増えていない。それでも人体だ。時間の限りがある。何故、可也の変身獣がいるのに獣機を壊しに行かないのか、そう思うだろう。それは、六種族の半身獣が六人ずつに分かれ、それぞれの獣の力を使い。変身獣と対等に戦う力があり。都市を守る事しか出来なかったからだ。

「ぐっ、虹、鳥家が来たぞ」

 竜族が、同族の様子を見て援護に向かおうとした時だった。虹、鳥家の獣機は車よりやや大きいが、速度は可也速く、地上獣機と同じく石弾を連射する。だが、竜の腹に当てる事は出来なった。巨体で飛んでいる訳でなく浮いている為に、即座に身体を捩れるからだろう。それで、硬い鱗しか当たらなかった。

「ウォォー、ウォォー」

 竜は痛みを感じるのだろう。泣き声のような悲鳴を上げる。それでも、変身が解ける者はいない。上空から落ちたら死ぬ。そう思うからだろうか、それとも、十二族最強の誇りからとも思えた。だが、竜の表情には微笑みを浮かべているように思える。その下には逃げる人々がいるが、我を忘れているのでなく、竜に手を振る子供がいるのだ。その竜の血族か孫なのだろう。

「最低限の物だけにして下さい」

 都市に残る。戦える者も何もしていない訳ではなかった。

「建物に入って待っていてください」

「そろそろ、満員だ」

「何を言っている。確りとした建物に避難させろ。涙花様が着き次第、この地を出るのだぞ、確りしろ」

 軍属に属す者は部下には厳しいが、避難をする者には穏やかに事を勧めていた。恐らく八つ当たりと思える。それも、そうだろう。軍属に属しているのに、軍属でもない老人が最前線にいるのだから悔しいのだろう。

「それにしても、涙花様は故郷に帰ったのだろう。そして、飛ぶ船を持って来てくれる。そう聞いたが、そこは楽園なのかな?」

「夢のような楽園だと思うぞ」

 避難をしながら話し声が聞こえる。だが、部下でない為に話を止めろ。そう言えない。一瞬だが、顔を顰めたが、笑みに変わった。恐らく、同じ事を考えているのだろう。
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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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