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第十五章
 王冠の儀と同時刻。十二時に西国の新都から五万の軍勢が東国に向かっていた。それも指揮の時にだけに使われる大太鼓を鳴らしながらゆっくりと進んでいた。何故か、東国の都に分かるように大袈裟に鳴らしていた。
「西国の兵が東国に来る、儀式なのか?」
 知らせが届いたのは新都を出て直ぐの事だった。そして、不信に思い、羊家の長老が問い掛けた。
「違うようです。全て本物の武器を手にしているそうです」
「そうか、儀式だと困る。念の為に都市の前に五万の兵を置くが、仕掛けてくるまで手を出すな。それと、我が羊家と虎と竜家だけで出る。伏兵が居ては困る。残りは城内を固める。そう伝えてくれ、急げよ」
「はっ」
 六家の使いは即答した。西国の軍が、都市から耳を澄ませば聞こえる位まで近づいた頃に用意が整った。その知らせを聞くと、羊家の長老は大声で指示の声を上げた。
「羊家を中央、虎家は左に竜家は右に陣を置く、そして、指示があるまで待機だ」
 即座に命令は実行された。都市の門の前、五百メートルの所に、三家が並んだ。
「何を考えているのか分からん。規律もなく種族もバラバラで行進だぞ。戦う気持ちがあるのか、やはり、儀式なのか?」
「変身できる者だけで確認してきますか、常人の力での刀や矢では傷も付きませんから」
「そうしたいが、罠だったら、それで変獣が遣られたら太刀打ち出来なくなるぞ」
「分かっています。私達も五万に十人で向かうのです。無理はしません」
「もう、羊の純血族が十人しかいないのか?」
「他家の人数は分かりません。調べますか?」
「調べなくても良い」
「ですが、老人を入れれば可也の数になりますが、何時、変身が解けるか分からないようでは使えません。それで、除きました」
「そうだな」
「数が必要なら加えますが」
「良い。十人で頼む」
「はっ」
 即座に変身した。羊と言っても象位の大きさがある。これでは、人の力での刀や弓では毛で遮られ無駄だろう。だが、五万の敵に向かうのだ。鳴き声が怯えているように感じるのは自声とは思えなかった。陣の後方に獣が十頭現れても敵の進撃は止まらない。見えないはずはないのだが、逆に、味方の陣の方が踏まれないように乱れて分かれた。そして、気合か威嚇のような声を上げながら向かった。まだ、乱れた太鼓の音は変わりなく、進撃してくる。もう、踏み潰すと思う時だ。五万の軍勢は乱れながら逃げたのでなく、整然と六人ずつに分かれた。それも、六種族ごとだ。
「な何だ。何が起きた」
 突然、腹に響くような音が聞こえた。その同時に変身した羊が四頭も斃れた。
「たった退却だ」
 指揮官の言葉を聞く前に、我を忘れて自陣に駆け戻る。数人の同族を踏み潰したからか、太鼓の音が止んだからだろうか、やっと我を取り戻した。だが、恐怖の為に変身は解かれ、直ぐには変身は無理だと思えた。
「信じられん。禁忌の武器を使うとは、戦に勝のでなく、皆殺しにする気なのか?」
「報告に来ました。変身できるのは二人だけです。ですが、機動性は無くなるでしょう」
「音が止んでいるなぁ」
 敵の軍勢は六人ずつに別れたまま、行進は止まっていた。
「はい。獣機音を隠す為だったのでしょう」
 羊家の軍長が話し掛ける。
「これは戦と言えない。ただ、指揮も作戦もなく獣機で撃ち続ければ終わりだ。それにしても、何故動かない。弾がないのか?」
「それは違うでしょう。確認したが石でしたから、それに、準備はしているはずです。恐らく、他家の獣変身の数を気にしていると思います。特に竜家でしょう。竜が出て来るのを待っていると思います。効くと分かれば直ぐにでも攻めて来るはずです」
 話をしている間に悲鳴が響いた。石が飛んできたのだ。一つの石で二人、三人と身体を突き抜ける。ただの石と思うだろうが、獣機の中に石を高速で飛ばす仕掛けがしてあるのだろう。恐らく、遠心力だと思える。
「都市に戻るぞ。急げ」
 羊の長老の声で退却の太鼓を鳴らした。
 命令を出して無いが、長老の気持ちを感じ取り、羊家がしんがりを努めた。矢盾は役を立たず、三万の内の半数の命が消えた。三家の全てが都市に入っても攻撃は止まず、城壁や建物が次々と壊される。その都市のある一室で悲鳴以外の声が響いていた。
「猪と馬と犬の戦車と、兵の殆どが半変身獣でした。普段のままの者では太刀打ち出来ないでしょう。まだ現れていないが、完全の変獣と、鳥家と虹家の飛行獣機と猿家の歩兵獣機が現れたら終わりです」
「そう、軍長が話をしてくれた事ですが、撃退は無理だ。出来る事は講和か都市を捨てるかです。それも、六家の完全の変身獣が居て、逃げる作戦だけが、考えられる程度だ」
 羊家の長老が話し掛けると、五種族の軍長が獣の数を即答した。何かが起きた場合は羊家に委ねる。信じて従えと言付けされていた。
「ありがとう。鼠家が十五。牛家が十。虎家が十。兎家が十。竜家が四頭か、それで、あの石弾に耐えられるか?」
 そう羊家の長老が問い掛けた。
「一、二発なら大丈夫と思うが、それ以上は変身が解ける。だが、竜家の獣機なら耐えられると思うが、新都に取りに行ければ」
 思案している時だ。新たな悲鳴と振動を感じられた。そして、一人の男が現れた。
「虹家と鳥家の獣機が現れました」
「来たか」
最下部の十六章をクリックしてください。

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物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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