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第十八章
 夢の楽園と思われている。その故郷に帰ってきた。話題の人物は、愛にせがまれ夜遅くまで話をしていた。そのお蔭で身体が休まる位の睡眠を取る事ができた。それは後で感謝するだろう。愛と一緒でなければ一睡もできるはずが無かったからだ。愛の方が喜びの為に、涙より朝早く起きていた。
「いい匂い」
 音よりも匂いの方が、目を覚ます効果があるのだろうか、それとも、余ほど空腹だったのだろう。声に気が付き、愛が言葉を掛けた。
「あっごめん。うるさかった」
「ううん。普段からこの時間だから」
 涙は、食欲を感じたとは言えなかった。
「連絡が無いけど、朝食を取ったら長老の所に行きますよ。それの方が良いでしょう」
「そうねえ。それにても、いい匂いね」
「えっそう、そう思う。リキも好きかな」
「食べて見ないと、何とも言えないわね」
「もうー」
 二人は昨夜の話題を上げながら食事を取る。又、時間を忘れて話すと思われたが、涙花は食欲と睡眠を取れたからだろう。怒りと不安の気持ちが膨れ上がった。
「ごめん。私、少しでも早く帰りたいの」
涙花は、幻だが、東国の被害が目に浮かんだ。
「うん。私も会えないけど、リキと同じ地を踏みたいわ。長老の所に行きましょう」
 建物の前では、乙が湯を沸かしていた。蘭か甲にでも目覚めの飲み物が欲しいと言われたのだろう。都市に住む人の出勤時間は早いが、外界に行って恥ずかしい気持ちが無くなったのだろう。それで無ければ、玄関の前で飲み食いする考えは浮かばないはすだ。
「涙花さん。長老から渡されました」
 乙は、握り締めていた物を渡した。
「何で、貴方が持っているの、それなら、早く知らせてくれたら良いのに、人の命が掛かっているのよ」
 そう、言いながら、乙の首を絞める。
「涙さん。手を放してくれないか、今長老が帰りながら渡された。色々な所に連絡をしていたと思う。今帰るのだからなぁ」
 甲は、怒声を聞き車外から出てきた。
「ごめん」
「ああっ言い忘れていた。二万人が限度らしいぞ。恐らく、要らない物を外してくれたのではないかな。愚痴を言いながら帰る人もいたから、そう思うぞ。気を付けろよ」
「ありがとう」
 振り向きながら答え、建物の中に消えた。
「愛、私達も行くぞ」
「良いの、朝食の用意だったのでしょう」
「時間潰しだ。気にしなくても良い」
 その言葉が聞こえたのだろう。乙は不平も言わずに片付け始めた。
 出発の準備をしている時だ。ズズと腹に響く低い音が伝わってきた。
「蘭、姉さんが出たらしいぞ」
「そうね」
 蘭は気の無い返事を返したが、真っ先に車外に出たのだ。姉の事は気にしているはずだ。
「可也大きいなあ」
 甲は呟く。偶然なのだろうか、又、興味が引く事などが起こり、雑用を乙に押し付けた。
「それはそうでしょう。人々を逃がすのよ。二万人乗りの船でも足りないはずよ」
 箸箱の蓋を取ったような船だ。手を加える前は、恐らく、空母のような形のはずだ。
「それでは、行くぞ」
 その言葉がこの地の最後の言葉になった。
全ては、外界に付かなければ遣る事が無いからだろうか、鍵を渡される時に、長老に言われた事を思い出した。
(済まない。始めの予定なら任務は終わりなのだが、他家で新たに水晶球が点滅したのだ。
今回は都市の中の異常らしい。涙花が船の電源を入れたからだと思える。無事に船が都市に戻れば警報は止まるはずだ。頼んだぞ) 
 最下部の十九章をクリックしてください。

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自己紹介:
物語を書いて五年になりましたが、私は「左手の赤い感覚器官(赤い糸)と「蜉蝣(カゲロウ)の羽(背中にある(羽衣)の 夢の物語が完成するまで書き続ける気持ちです。
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